甘い体温②・前編・


思わず笑っちゃいそうになったけど、でも…



「ごめん、私もすっかり忘れてた」



感動のあまり、隣の陽生の存在をすっかり忘れてしまっていた。


へへ…。私としたことが。


思わず苦笑いを浮かべると、



「ひでーな。果歩もかよ」



ってすかさず突っ込まれてしまった。


ごめんね。




「でも、陽生もありがと」



本当は一番感謝してるんだよ。


すごく、すごく。


陽生がいなかったら、あの人とあんな風に向き合えなかったし、


それに、今こんなふうに笑えてないもんね。


そんな気持ちを込めて、陽生の手をやんわり上から握りしめると、少し照れたように陽生が目を開いた。



「いや、別に俺は何も…」



そう言って、柄にもなく恥かしそうに私から視線を逸らしたから、それを見てやっぱりクスッと笑ってしまったんだ。