「いろいろとご迷惑をおかけしました」
改めてペコリお辞儀をすると、静香さんは当たり前のように優しい笑みを返してくれた。
「あら、別にそんなに改まらなくていいわよ。別に大したことなんてしてないし。
……それに、大事な妹を心配するのは当たり前のことでしょ?」
その言葉に目をパチクリさせる。
「……えっ、妹……ですか?」
「そうよ。もう家族みたいなもんじゃない。少なくても私はそう思ってるのよ。
だから、これからも何か困ったことがあったらいつでも言いなさい。いい?」
思わず言葉を詰まらせてしまった。
家族…
その言葉があまりに自然すぎて、呆れちゃうほど何も反応ができなくなったんだ。
胸の奥の奥から、ググッと温かい感情が込み上げてくる感じ。
「…静香さ……」
歓喜余って思わず涙ぐむと、静香さんは焦ったようにティッシュを私に差し出してくれた。
「あらあら、ほら、もう泣かないの。何も泣くことはないでしょ?……でも、意外と果歩ちゃんって涙もろいのね」
クスッと笑ったその顔があまりに素敵だったから、私の口からは素直に愛の言葉がこぼれ落ちていた。



