甘い体温②・前編・


「もうお姉ちゃんってばっ」



それでもグイグイ連れて行こうとする優の態度に、戸惑いというより、少しだけ苛立ちみたいなものが押し寄せた。


できればもう少し慎重に行動したいんだけど…



「あ、あのね、優…」


「ほら、お姉ちゃん!」


「こら、優、そんなに強引にしちゃダメだろ?お姉ちゃん困ってるじゃないか」


「えーっ、だって僕お姉ちゃんを早くママに会わせたいんだもん!いいでしょ?」



そう言って、容赦なく引っ張ってくる優に耐えきれず、私は咄嗟にその手を振りほどいてしまった。



「だから、ちょっと待ってって言ってるじゃないっ」




つい、大きめの声を上げていた。



あ……



と思った時には遅かった。


目の前の顔がみるみると硬直し、握られていた手がゆっくりと離れていく…