「もうお姉ちゃんってばっ」
それでもグイグイ連れて行こうとする優の態度に、戸惑いというより、少しだけ苛立ちみたいなものが押し寄せた。
できればもう少し慎重に行動したいんだけど…
「あ、あのね、優…」
「ほら、お姉ちゃん!」
「こら、優、そんなに強引にしちゃダメだろ?お姉ちゃん困ってるじゃないか」
「えーっ、だって僕お姉ちゃんを早くママに会わせたいんだもん!いいでしょ?」
そう言って、容赦なく引っ張ってくる優に耐えきれず、私は咄嗟にその手を振りほどいてしまった。
「だから、ちょっと待ってって言ってるじゃないっ」
つい、大きめの声を上げていた。
あ……
と思った時には遅かった。
目の前の顔がみるみると硬直し、握られていた手がゆっくりと離れていく…



