甘い体温②・前編・


そう…だったんだ。


知らなかった…


あっ、だからさっきからちらほらと、色んな視線を感じてたわけだ。


納得し、少し複雑な思いで陽生から視線を逸らした私。


そのまま1メートルぐらい進んだ頃、前方から今度は可愛らしい声が飛んできた。




「あっ、お姉ちゃん」



ドクン…


その声に、思わず足が止まる。


私を見るなり嬉しそうに走ってくる男の子。


無邪気に私だけを見つめて一直線に駆け寄って来るその姿に、一気に緊張が駆け巡った。




―――…優。