「……ひょっとして、先生の彼女さんですか?」
あからさまに表情が曇ったのが分かる。
いかにもショックっていった感じだろうか。
相変わらず当の本人は興味なさそうな素振りだけど。
「ああ。てか悪いんだけど、今ちょっと急いでるんだ。用がないならまたにしてくれないかな」
面倒臭そうに答える陽生にナース達が少したじろぐ。
確かに、このままだと余計な時間ばかり過ぎてしまいそうだ。
「あ、すみません。じゃあ私達はこれで…。た、たまにはこっちの病院にも顔出してくださいね」
名残惜しそうにエレベータに乗りこんだナース達。
陽生は相変わらず顔色一つ変えないまま、私の手を引いて歩き出した。
「……知り合い?」
私はチラッと陽生の横顔を見た。
「ああ。研修医の頃、ここで一緒に働いてた子達」
「えっ、ここで働いてたの?」



