「そろそろ、ちゃんとけじめをつけてこい」
今まで、どれだけの涙を陽生の前で流しただろう。
どれだけの思いを受け止めてもらったのだろう。
泣いて、怒って、抱きしめられて。
その度に何度もこの温もりに助けられてきた。
この優しさにたくさん救われてきたんだ。
いつだってそうだった。
この手は、私を正しい方に導いてくれる。
この声は、私の気持ちを素直にしてくれる。
この温もりは、いつだって私の全てを包み込んでくれるんだ。
大きく、とても温かく…
「果歩、家に帰ろうか」
「ん…」
そう言って優しく触れた陽生のキスは。
どんな最高の夜景より、とてもとても温かかった――…