「果歩。そろそろ前に進まないか?」
それから少しして。ゆっくりと車に戻った私達。
手を引かれ、車に乗り込むなり陽生が私を見てそう言った。
「…えっ?」
「お前のためにも、そして母親のためにも、一度腹割って話し合ったほうがいい」
「腹…割って?」
「ああ。果歩がさっき俺に言ったことを全部ぶつけてこいよ。怒りも悲しみも、今まで言えなかったこと全て」
「えっ…」
全て…ぶつける?
今までの思いを?
「…でも……」
「大丈夫。お前には俺がついてるんだ。心配することなんて何もない」
カーナビのわずかな光の中、陽生の真剣な瞳と目が合った。
「果歩、お前を愛してる」
「えっ…」
「俺はどこにも行かない。ずっとお前の側にいる。だから、安心して自分のこれからを決めろ」
「はる…」
「もう、過去に苦しむのはこれで終わりにしよう」



