甘い体温②・前編・


「………好き?」


「じゃなかったら、こんなに苦しんだりはしないだろ?」



そう言った陽生の瞳はとても真剣なものだった。


真っ直ぐで、とても優しい陽生の眼差し。



「果歩?本当にどうでもいい相手だったらこんなに泣いたりはしないよ。

こんなに怒ったり、憎んだりもしない。

好きだから憎くなる。好きだから苦しくなるんじゃないのか。違うか?」




……好きだから憎くなる?





「違う…」



そう言いたかったのに、何も言葉がでてこなかった。


その変わり。


涙が、ぽろぽろと頬に零れ落ちていた。


認めたくないのに。


そうだと言わんばかりに、ただただ涙が止まらなかった。