相変わらず目の前の景色は綺麗だった。
この今のドロドロした気持ちとはまるで正反対の澄み切った星空。
そんな中、ドキドキと妙な緊張を感じさせながら、陽生がゆっくりと息を吐く気配。
「俺な。今まで生きてきてずっと後悔してることが一つだけあるんだよ」
「えっ?」
……後悔?
思わず声に出してしまった私の体を、陽生がギュッと抱きすくめる。
その感覚が妙に息苦しくて、何故か嫌な切なさを覚えるほど。
「なぁ、俺が昔話したこと覚えてるか?」
「えっ……話し?」
「ああ、俺が中学の時お袋が亡くなったって、前に話したことあったよな?」
ああ。えっと、あれは確かまだ私と陽生が出会ってまもない頃だったけ?
私が陽生への気持ちにちょうど気づき始めた頃。
ホテル暮らししてた時に一度だけ、ベッドの上で陽生が自分のことを話してくれたことがあったんだ。
「あ、うん……」
思い出した私は少しぎこちなく頷いてみる。
あの時のことは今でもよく覚えてる。
だって、普段あまり自分のことを話したがらない陽生が唯一教えてくれた貴重な出来事だったから。



