「はぁ…ったく。相変わらず素直じゃないな。果歩は」
そう言って、急に目の前の陽生が立ち上がる。
突然消えた陽生のぬくもりにドキリとし、思わずつられるように顔を上げた瞬間、
「相変わらず嘘が下手すぎ」
陽生はそう言葉にし、突然私の頬を両手で包み込みこんだ。
「っ、何よっ」
驚いた私は目を開く。
陽生はそんな私を見つめたまま、何故かクスッと笑い。
「ふっ、果歩は絶対女優にはなれねーな。全然だめ。って、まぁ、そんなものになってもらっちゃ困るけれど。
つーか、お前気づいてる?」
「…え?」
「そんな泣きながらヒドイこと言われても、全然説得力なんかないんだけど?」
その言葉にまた驚いた。
思わず陽生に視線を合わせると、すごく優しい顔をした陽生が私の涙を拭っていた。
「そんなに目真っ赤にして、嫌いはねーだろ」
「ち、ちがっ。別に泣いてなんか…」
「じゃあ、この雫はなんだ?」
陽生はわざとらしく笑い、指で拭き取った涙を見せてくる。



