甘い体温②・前編・


「はぁ…ったく。相変わらず素直じゃないな。果歩は」



そう言って、急に目の前の陽生が立ち上がる。


突然消えた陽生のぬくもりにドキリとし、思わずつられるように顔を上げた瞬間、



「相変わらず嘘が下手すぎ」



陽生はそう言葉にし、突然私の頬を両手で包み込みこんだ。



「っ、何よっ」



驚いた私は目を開く。


陽生はそんな私を見つめたまま、何故かクスッと笑い。



「ふっ、果歩は絶対女優にはなれねーな。全然だめ。って、まぁ、そんなものになってもらっちゃ困るけれど。

つーか、お前気づいてる?」


「…え?」


「そんな泣きながらヒドイこと言われても、全然説得力なんかないんだけど?」



その言葉にまた驚いた。


思わず陽生に視線を合わせると、すごく優しい顔をした陽生が私の涙を拭っていた。



「そんなに目真っ赤にして、嫌いはねーだろ」


「ち、ちがっ。別に泣いてなんか…」


「じゃあ、この雫はなんだ?」



陽生はわざとらしく笑い、指で拭き取った涙を見せてくる。