甘い体温②・前編・


それを今更何もなかったことのようにできるわけがない!


そんな虫のいい話しが…



ズキズキと胸が痛む。


陽生の真っ直ぐな視線が突き刺ささって、思わず唇をかみしめた。


もう、頭も心もぐちゃぐちゃだった。



「何よ、そんな顔で見ても無駄なんだからね」



押さえきれず、私はそう口にしていた。


苦し紛れに呟きながら、どんどん怒りが膨らんでいく。



「どうせ、陽生には分からないよ」


「えっ?」


「私の気持ちなんて陽生には分からない!」



実際、本当のところは分かるわけがないんだ。


お金だって家族だって、何不自由なく当たり前のように手にしてきた陽生には。


私の気持ちなんて分かるわけがない。