それを今更何もなかったことのようにできるわけがない!
そんな虫のいい話しが…
ズキズキと胸が痛む。
陽生の真っ直ぐな視線が突き刺ささって、思わず唇をかみしめた。
もう、頭も心もぐちゃぐちゃだった。
「何よ、そんな顔で見ても無駄なんだからね」
押さえきれず、私はそう口にしていた。
苦し紛れに呟きながら、どんどん怒りが膨らんでいく。
「どうせ、陽生には分からないよ」
「えっ?」
「私の気持ちなんて陽生には分からない!」
実際、本当のところは分かるわけがないんだ。
お金だって家族だって、何不自由なく当たり前のように手にしてきた陽生には。
私の気持ちなんて分かるわけがない。



