何かの間違いなんかじゃないの?
だって、あんなに楽しそうにブラウンを見てたのに。
あんなに嬉しそうに優に笑いかけてたじゃない。
あんな、幸せそうな姿を目の当たりにして、そんなことこれっぽっちも想像なんてできるわけないよ。
…そうでしょ?
「ああ、本当だ」
けれど、陽生の言葉がそんな思いを優しく打ち砕いていく。
「末期の胃癌だそうだ」
「え?」
「しかもスキルス性の。気づいて病院に行った時にはもう手遅れだったそうだ。
発見した時にはすでに癌が胃全体に広がっていたみたいでな、もう手術もできない状態だったらしいんだ」
陽生はそう言って、その後もゆっくり、分かりやすく話してくれた。
その癌は、普通の胃癌と違って進行がすごく早いこと。
症状も、例え検査をしたとしても早期発見が難しいこと。
そして、今はできるだけ家族と一緒にいられるように、自宅療養してることとか。
まるで医者そのものの真剣な顔で。
とても優しく、とても丁寧に説明してくれた。



