甘い体温②・前編・


ああ、そうか。


だからあの時あんな寂しそうな顔してたんだ。


あんな切羽詰まったような…


弱々しくて、今にも壊れてしまいそうな姿だった。


そこには昔の冷たい雰囲気はどこにもなくて、


まるで違う人を見てるようだった。




「……かほ」


「…えっ」


「大丈夫か?」



肩を揺すられて、ハッと意識を陽生に移す。


気がづくと、いつの間にか陽生がベンチから下り、心配そうに私を見ていた。



「平気か?」


「あ、うん…」



ゆっくり頷いた私を見て、陽生が安心したように眉を下げた。


そしてそのまま私の腕を掴み、



「立てるか?」



そう言って、私をベンチに座らせた。