ああ、そうか。
だからあの時あんな寂しそうな顔してたんだ。
あんな切羽詰まったような…
弱々しくて、今にも壊れてしまいそうな姿だった。
そこには昔の冷たい雰囲気はどこにもなくて、
まるで違う人を見てるようだった。
「……かほ」
「…えっ」
「大丈夫か?」
肩を揺すられて、ハッと意識を陽生に移す。
気がづくと、いつの間にか陽生がベンチから下り、心配そうに私を見ていた。
「平気か?」
「あ、うん…」
ゆっくり頷いた私を見て、陽生が安心したように眉を下げた。
そしてそのまま私の腕を掴み、
「立てるか?」
そう言って、私をベンチに座らせた。



