「あと、半年だそうだ」
「…えっ?」
「果歩の母親、あと半年の命だそうだ」
時が。
時が止まるってこういうことなんだろうか。
まるで世界が壊れてしまったように、目の前の景色が崩れていくように見える。
目の前の陽生も。
キラキラ輝いてた景色も。
今まで見ていた全てがガタガタと、色あせていく感覚だった。
「あの人と…会ったの?」
そんな中、咄嗟にでてきた言葉はこれだった。
ほぼ、無意識だったと思う。
「ああ、実は今日昼過ぎに病院に来てな。ずっとそれを果歩に伝えようか迷ってたそうだ」
「……」
「本当は何も言わず、このまま静かに逝こうとも考えたそうだけど…でもな…」
陽生の声がだんだんと小さく遠のいていく。
その瞬間、何故かあの人の顔が思い浮かび、ただただ何も考えられなくなっていた。
だって、違ったから。
冷たい、怒ってる顔じゃない。
脳裏に浮かんだその顔は。
何故か、優しく穏やかに微笑む最高の笑顔だったから…



