甘い体温②・前編・


「あっそ、分かったわよ。なら好きにしなさい。私は止めないから」


そう言って、呆れたように顔を緩めた静香さん。


どことなく状況を把握したって様子で陽生から私へと視線を移す。


「そういうことだから、焼き肉はまた今度ね。それでいいかしら」


「あ、はい…」



もはや頷くしかなかった。


さすがにこんな状況の中で嫌とは言えないよね。


妙な緊張に包まれながら頷くと、陽生が突然私の手を掴んだ。



「じゃあ、そろそろ行くぞ」


「…へっ?」


「サンキューな静香。この埋め合わせはまたするから」



グイっと手を引かれ、私は強制的にベッドから下ろされる。


一瞬よろけそうになったけれど、そんなのお構いなしで前に進むしかなかった。



「え、あの、えっ?」



前を向いたまま陽生は何も答えてはくれない。


チラッと後ろを向けば、静香さんがやれやれと言った感じで手を振っていた。




……陽生?