甘い体温②・前編・


「えっ、やだ。果歩ちゃんどうしたの?ひょっとして…焼き肉じゃ嫌だった?」



そんな私を見て、静香さんが少し慌てたように声を上げた。


もし、私にお姉ちゃんがいたらこんな感じなんだろうか?


ずうずしくもそんなことを思ってしまった。


ううん。できるならこんなお姉ちゃんが欲しかったな。


思わず泣き笑いを浮かべながら、私は静香さんに向けて顔を横に振った。



「違うんです…なんか嬉しくて」


「えっ?」



そ…だよね。


静香さんの言う通りかも。


ここはパァーっと美味しいものでも食べて気分転換しなきゃだね。


うん。そうだよ、そう。



「じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな」



私はさりげなく涙を拭いた。


気を取り直し、行く気満々でベッドから立ちあがろうとしたのに……



「悪いけど、今回俺らはパスだ」



突然横から陽生の声が聞こえ、私はピタッと動きを止めた。



「焼き肉は行かない。また今度にしてくれないか」


「……えっ?」