差しだされたのはカフェオレと言うよりはほぼホッとミルクに近い、とても甘ったるいものだった。



「それ飲んだらさっさと寝なさい」


「あ……うん」


「ったく、あんまり手間かけさせないでよね」


「…はぃ……」



いつにもまして静かな夜。


そして……穏やかな夜。


それ以上母は私を見なかったけれど、


それっきり、母と会話をすることはなかったけれど。


その日、産まれて初めてほんの少しだけ母の優しさに触れられたような気がしたんだ。


相変わらず態度はぶっきら棒でも。


例え、それが母の気まぐれだったとしても。


その日は驚くほどぐっすりと穏やかに寝れた夜だった。


今思えばそれが最初で最後に見せたあの人の優しさだったのかもしれない。



そして、その日からミルクたっぷりのそれが私の大好物になった。


眠れない時は毎晩のように一人作って寂しさを紛らわせた。



まるで、バカの一つ覚えみたいに…