(突然の告白ーsaide 果歩ー)
懐かしい夢をみた。
それは昔、まだ私が幼いころの遠い記憶。
その日は珍しく母親が仕事から早く帰ってきた日の時のこと。
「あら、果歩あんたまた風邪ひいたの?」
「くしゅん」
「うん」という返事の変わりにくしゃみをした私に、心底呆れた顔を向けた母。
私は条件反射のように素早く体をすくませ、ビクッと俯く。
また、いつものように冷たく怒られると思ったから…
でも、その日は違った。
珍しく、いつもみたいに冷たい罵声は飛んでこなかったんだ。
それどころか少し屈んで私のおでこに手を当てた母が私を見て。
「何か飲む?」
「えっ…」
「カフェオレなら作るけど」
そう言って私にカフェオレを作ってくれた母。
その表情が、今まで見たことがないぐらい穏やかで、すごくすごく印象的だった。