「でも正直、果歩の付き合ってる人があなたみたいな方で安心しました。
初め聞いた時はさすがに驚きましたが、でも、きっとこれも運命の巡り合わせなのかもしれませんね」
なぜだろう。
胸がざわざわとする。
妙な胸のざわつきを感じて俺は思わず眉をひそめ。
「はっきり言って今から話すことはあの子にとって特に大したことじゃないかもしれない。
けど…、それでもこのまま知らせない訳にもいかないような気がして…
本当、自分勝手もいいところだとは思いますが」
岩瀬早苗が顔を歪めながら俺を見る。
「それに、きっと先生なら私なんかより上手くあの子に伝えられると思うから」
「えっ、ていいますと?」
嫌な予感をひしひしと感じる。
どうか、この予感が俺の勘違いであってほしい。
「あの、実は…」
そう願いながら次の言葉を待つ俺の脳裏には。
何故か、果歩の無邪気な笑顔だけが浮かんでいた。