甘い体温②・前編・


そこにいたのは岩瀬早奈江だった。


窓から降り注ぐ少し眩しいぐらいの光の中。


その姿はまるで光から浮き出たようにはっきりと見えた。


果歩の、実の母親……



「あ、休憩中にすみません。今大丈夫でしょうか?」



俺に気づいた彼女が慌てたように立ちあがった。


他には誰もいない。


周りを見る限り、…一人で来たのだろうか?


午前中の果歩の話では父親と、優君と一緒っだったというようなことを聞いていたけれど…



「あの…」


「とりあえず場所を移動しましょうか」


「えっ?」


「ここだとそのうち他の患者さんが来てしまう。なるべくならゆっくり話せる所の方がいいですよね?」



気まずそうに見てくる彼女に俺は静かにそう言った。


意外にも冷静に言葉を向けている自分に内心少しホッとした。


彼女の話したいことはだいたい見当はつく。


この様子からすると、きっと彼女もそのつもりで俺の所にきたのだろう。