そこにいたのは岩瀬早奈江だった。
窓から降り注ぐ少し眩しいぐらいの光の中。
その姿はまるで光から浮き出たようにはっきりと見えた。
果歩の、実の母親……
「あ、休憩中にすみません。今大丈夫でしょうか?」
俺に気づいた彼女が慌てたように立ちあがった。
他には誰もいない。
周りを見る限り、…一人で来たのだろうか?
午前中の果歩の話では父親と、優君と一緒っだったというようなことを聞いていたけれど…
「あの…」
「とりあえず場所を移動しましょうか」
「えっ?」
「ここだとそのうち他の患者さんが来てしまう。なるべくならゆっくり話せる所の方がいいですよね?」
気まずそうに見てくる彼女に俺は静かにそう言った。
意外にも冷静に言葉を向けている自分に内心少しホッとした。
彼女の話したいことはだいたい見当はつく。
この様子からすると、きっと彼女もそのつもりで俺の所にきたのだろう。



