「でも、思いっきり泣いて少しは楽になったんじゃないかしら」
「ああ、だといいけど…。それより着替えサンキューな、助かったよ」
俺は仮眠室を出ようとする静香の背中に向かって言った。
当たり前だけど、ここに着替えなんてものはないから、正直すごく助かった。
さすが手際がいいっていうか、いろんなところに目が届く奴だ。
「べっつに~、可愛い妹のためならこんなのどうってことないわよ。はい、これ、お土産。家に帰ったら果歩ちゃんと食べて」
静香はクスッとはにかみ俺にケーキの箱を渡す。
妹…か。
「サンキュ」
何気なく響いたその言葉が何故か、すごく温かく思えた。
「しっかり守ってあげなさいよ」
「ああ、言われなくても」
真剣な面持ちになったあと、静香は再び俺から背を向けた。
そして、よし、仕事するぞー。なんて言いながら扉に手をかけようして。
「あ、そうだ」
突然こっちに振り返った。



