甘い体温②・前編・


「でも、思いっきり泣いて少しは楽になったんじゃないかしら」


「ああ、だといいけど…。それより着替えサンキューな、助かったよ」



俺は仮眠室を出ようとする静香の背中に向かって言った。


当たり前だけど、ここに着替えなんてものはないから、正直すごく助かった。


さすが手際がいいっていうか、いろんなところに目が届く奴だ。



「べっつに~、可愛い妹のためならこんなのどうってことないわよ。はい、これ、お土産。家に帰ったら果歩ちゃんと食べて」



静香はクスッとはにかみ俺にケーキの箱を渡す。


妹…か。



「サンキュ」



何気なく響いたその言葉が何故か、すごく温かく思えた。



「しっかり守ってあげなさいよ」


「ああ、言われなくても」



真剣な面持ちになったあと、静香は再び俺から背を向けた。


そして、よし、仕事するぞー。なんて言いながら扉に手をかけようして。



「あ、そうだ」



突然こっちに振り返った。