そう思ったら、ますます悪いことしてる気分になってくる。


「ほんと…ごめ……」


思わずまた謝ろうとしたら、何故か目の前に黒い影がかかり、唇に柔らかいものが押し当てられた。



「隙あり」


「へっ?」



ビックリして目を丸くすると、悪戯に笑った陽生と目が合った。


その距離はわずか数センチ。


いつの間に身を乗り出したんだろう。


驚くほど近い陽生のどアップに、私はゴクリと息を飲んで。



「いつも言ってるだろ、謝るぐらいならキスしろって」


「へっ」


「そんな泣きそうな顔されるぐらいなら、俺的にはよっぽどこっちの方が嬉しいんだけど?」



クスリ笑った陽生がそのまま額にもキスを落とす。



「それにむしろ逆に嬉しいぐらいだよ。果歩がこんなふうに俺のこと頼ってくれて」


「えっ?」


「俺にこうしてちゃんと本音をぶつけてれて正直ホッとしてるよ」


「…陽生……」