も、やだ……
雨はさらに強くなるばかり。
冷たい雨が容赦なく体を突き刺して、いっそう私の心をかき乱していく。
「う……っ」
その瞬間何かの線が弾けたたみたいに緊張の糸がプツンと切れる。
そして押し寄せてきたのは自分への後悔…
どうして、あの時すぐに帰らなかったんだろう。
なんであの時立ち止まってしまったんだろう。
たとえ予期せぬ偶然だったとしても、
あの時すぐに行動してればこんな…
こんな出会い方しなくてもすんだのに…
「ワンっ」
「ごめ……ブラウン」
その場に座り込むと、心配そうにブラウンが私の足を舐めた。
たまらずその茶色い毛並みにそっと手を伸ばそうとして、
――…ガチャ。
「えっ、果歩…ちゃん?」



