「もうやっ、放して!!」



これ以上こんな所にいたくない!


たまらず私は掴まれた手を振りほどくと、一気にその場から駆けだした。



「果歩!」


「お姉ちゃっ……」



後ろから呼び止める声を無視して私はがむしゃらに元来た道を走っていた。


それと同時に降りだした最悪な雨。


まるで砕けそうな今の気持ちに追い打ちをかけるようだった。



気持ちが悪い…


頭がガンガンする。



どうせなら、このやり切れない思いも全部一緒に洗い流してくれればいいのに…


さっきの出来事全てなかったことにしてよ!




「…っ……」



会いたい。


陽生に会いたい…



そう思った私の足は、何を考えるでもなく陽生の病院へと向かっていた。