……この子?


思わず顔を歪めると、目の前の父親が何かを確認するかのように母親を見た。


それに答えるように頷く母親。


まるで私のことを知ってるかのような口ぶり。



……何?


何なの!?



「果歩…あのね」



さっきとは打って変わり、たどたどしくなった母親の声。


何かを思い詰めたその様子に、異様な緊張感が漂ってくる。



なんで…そんな悲しそうな顔をしてるの?


なんであんたがそんな寂しそうな瞳で私を見るのよ!


胸の痛みが増し、腕の中のブラウンをぎゅっと抱きすくめた。




も…やだ…


聞きたくない!


もう何がなんだかわからない!


今ここで話を聞いてしまったら、もう取り返しのつかないことになってしまいそうで…