……いったい何なの?


周りの通行人が私達を怪訝な顔で振り返っていくのが分かる。


けれどそれ以上に目の前の視線の方が痛くて、何も考えられなくさせられる。



「あなたに話したいことがあってずっと探してたのよ」


「……えっ、話したい…こと?」



って何よ…



「別に私は今更話すことなんか……」



そう思うのに、


射抜くように見つめられてそれ以上何も言葉にならない。


ドクドクと、軽く吐き気すら感じ始めて。



「おい、早奈江?」



後ろから現われた父親が私と母親を交互に見つめてくる。


目が合うなり、ハッとしたように大きく目が開いたのを私は見逃さなかった。



「もしかして、この子が……」


「えっ……」