甘い体温②・前編・


「果歩っ…」


「やっ、放して!」



ビクッと体が反応する。


周りの空気が一気に熱く逆立って行くのを感じた。



「何よ……」



今更話すことなんか何もない!


私とあんたはもうとっくに赤の他人なんだから……


震える手で思いっきり掴まれた手を振りほどくと、心臓がこれでもかってぐらい早さを増した。



「あなた、今どこに住んでるの?」



けれど、そんな私に追い打ちをかけるように再び手首が掴まれる。



「この前アパートに行ったのよ!そしたらもぬけの殻じゃない。いったいどうなってるの!」


「えっ……」



アパートに…来たの?


……何で?


思わず振り返った瞬間、見たくもない瞳とぶつかり合った。



「べ、別にどこだっていいでしょ!」



声が震える。


触れられた手首がたまらなく熱い――