「果歩っ…」
「やっ、放して!」
ビクッと体が反応する。
周りの空気が一気に熱く逆立って行くのを感じた。
「何よ……」
今更話すことなんか何もない!
私とあんたはもうとっくに赤の他人なんだから……
震える手で思いっきり掴まれた手を振りほどくと、心臓がこれでもかってぐらい早さを増した。
「あなた、今どこに住んでるの?」
けれど、そんな私に追い打ちをかけるように再び手首が掴まれる。
「この前アパートに行ったのよ!そしたらもぬけの殻じゃない。いったいどうなってるの!」
「えっ……」
アパートに…来たの?
……何で?
思わず振り返った瞬間、見たくもない瞳とぶつかり合った。
「べ、別にどこだっていいでしょ!」
声が震える。
触れられた手首がたまらなく熱い――



