見ると車を道路の端に止め、満面の笑みでこちらに向かってくる男が一人…
「おーい、優、早奈江ただいま~」
「あ、パパだ!」
――…パパ?
私はその言葉を疑った。
今、なんて……
「おう、優、いい子にしてたか?」
そう言って手を上げた人物が優達の元へと駆け寄って来る。
すかさずギュッと、嬉しそうに抱きつく優。
それを愛しそうに受け止める男。
年は50代前後といったところだろうか?
「あらあなた、出張から帰って来るの昼過ぎって言ってなかった?」
「ああ、それが予定より早く帰って来れてね。偶然そこを通りかかったら早奈江達の姿が見えたから」
「そう、それは偶然ね」
頬笑み合う3人の幸せそうな家族。
まるでドラマのワンシーンを見ているかのようだった。



