甘い体温②・前編・


見ると車を道路の端に止め、満面の笑みでこちらに向かってくる男が一人…



「おーい、優、早奈江ただいま~」


「あ、パパだ!」



――…パパ?


私はその言葉を疑った。


今、なんて……



「おう、優、いい子にしてたか?」



そう言って手を上げた人物が優達の元へと駆け寄って来る。


すかさずギュッと、嬉しそうに抱きつく優。


それを愛しそうに受け止める男。


年は50代前後といったところだろうか?



「あらあなた、出張から帰って来るの昼過ぎって言ってなかった?」


「ああ、それが予定より早く帰って来れてね。偶然そこを通りかかったら早奈江達の姿が見えたから」


「そう、それは偶然ね」



頬笑み合う3人の幸せそうな家族。


まるでドラマのワンシーンを見ているかのようだった。