「あんま我慢するなよ」
「え?」
「俺の前では無理しなくていい」
「はる…き?」
「何か困ったことがあったらいつでも俺に会いに病院に来い」
最後にそう言い残して玄関を出て行った陽生。
そんな後姿を見つめながら、溢れそうになった涙を私はグッと堪え…
「……っ…」
ああ、そうか。全部陽生は分かってるんだ。
この心の奥の突っかかりも、モヤモヤとのしかかる重い不安も何もかも全て……
だからこんな……
ポタリ、床に落ちてく水滴を見つめながら思わず両手で頬を叩いた。
ダメだダメ!
たかが母親と再会したぐらいで何こんなに動揺してるんだろう。
こんなナーバスになって、陽生に心配ばかりかけて。
情けない…
もっとしっかりしなきゃ。
もっとちゃんとしなきゃだめでしょ!



