今にも泣きだしそうな果歩の表情。
ほっとくと消えてしまいそうな果歩の姿に俺は目を見開きながら動きを止める。
こんな果歩の姿を見るのは初めてかもしれない。
まるで幼い子供が母親を恋しがるような…
そんな姿。
「…ダメ?」
なわけねーだろ。
果歩が俺を必要としてくれるなら、それを無条件で受け入れるまでだ。
俺はフッと顔を緩めるとスーツの上着を脱ぎ捨て、そのまま果歩の隣に移動した。
「ほら、おいで…」
手を伸ばし目を細めると、安心したように果歩が俺の腕に飛び込んでくる。
腕の中に収まったその姿がたまらなく可愛くて、すかさず腕を回し抱きしめる。
「ずっとこうしててやるから、安心しろ」
果歩が望むなら、いくらでも、何時間でもこうして傍にいてやるよ。
安心できるまでずっと…



