甘い体温②・前編・


ちっ、始まったか…


この光景をもう何度こうして見てきただろう。


毎晩のように繰り返される果歩の苦しみ。


できるならこんな光景なんか当たり前になってほしくない。


こんな辛そうな悪夢なんて…



俺は上半身を持ち上げ、果歩の顔を軽く叩いた。



「果歩、大丈夫か、しっかりしろ」



痛々しくて見てらんねぇ。


なんとかして助けてやりたい。


この手で。


この俺が…



「ん……陽…生?」



辛そうに瞼を開けた果歩とゆっくり視線が絡み合う。


ギシッと胸が張り裂けそうだ。