甘い体温②・前編・


な、わけねぇーよな。


もうこの前みたいな失態は起こさねーぞ。


っていうか、そもそも玄関に靴はちゃんとあったんだし。ここにいるのは分かってるんだ。


つーことは…


風呂か?


そう思いながら一歩足を進めた瞬間、ソファーに横たわる果歩の姿を見つけ、俺はゆっくりと歩み寄った。


見ると、ちょうど俺に背を向けるようにして気持ち良さそうに寝息を立てている果歩の姿。


スースーとリズムよく動く華奢な背中を見つめながら、俺はフッと口を緩め。



「なんだ、寝てるのか…」



そっと上から覗き込み、果歩の横顔を視界に入れる。


風呂上がりなのか、髪の毛は微かに濡れていて、シャンプーの香がほのかにする。


にしても、何でまたここで寝てるんだ?


ネクタイを緩めながら思わず苦笑い。