それにしても俺もうかつだった。
まさか、あの子が岩瀬早奈江の子供だったなんて…
母親の方に気を取られてばかりで、正直子供の方にまで目を配る余裕なんてなかったから。
もう少しちゃんと調べて注意しておくべきだったのかもしれない。
まぁ、今更こんなこと思ってもしょうがないけれど。
「少し気を付けなさいよ」
「え?」
静香が真剣な面持ちで体ごとこっちに向き直る。
「無理矢理押さえこんだ感情はきっと近いうち、何かのきっかけでポンっと弾け飛ぶものよ」
「……」
「ひょっとしたら、果歩ちゃん自身もう限界かもしれないし。それ以前にこんな不安定な状態なんてずっと続くはずがないんだから…
いつ、感情のコントロールが崩れるか分からないのよ」
「…ああ」
「そうなった時、ちゃんとあんたがしっかり受け止めてあげなさいよ」
「ああ、分かってる」
そんなことは言われなくても分かってる。
そのために常日頃から果歩の傍に俺がいるんだ。
それぐらいの覚悟なんかもうとっくにできてるっつーんだよ。



