甘い体温②・前編・


行動に移すのはそれを踏まえてきっともう少し先だろう。


幸い住んでる場所は分かってるんだ。


会おうと思えばいつでも会える状態なわけだから…



「果歩ちゃん、きっと自分が思ってる以上にダメージが大きかったのかもしれないわね」


「ああ…」


「自分は大丈夫、って言い聞かせながら、この前の出来事をなかったことにしようとしてるのかも。

っていうよりも、実際のところは受け入れられない気持ちの方が強いのかもしれないけど」


「だろうな」




5年前、自分を捨てた母親が突然何の前触れもなく目の前に現れたんだ。


普通に考えて戸惑わないほうがおかしいよな。


しかも、新しい子供まで連れて…


そんな光景を目の当たりにして、冷静でいられるなんてまず無理だろう。


実際、あんなにパニックになって取り乱したんだから…


多かれ少なかれ、果歩の中でなにかしら強いストレスになってるのは間違いなさそうだ。