甘い体温②・前編・


「ねぇ、あれからあの母親との連絡は?」



そんな時、少し硬めの低い声が向けられる。


突然難しい表情に変えた静香に、俺の表情もスッと強張っていくのを感じ…



「いや、まだ何も」


「そっか…」



はっきり言ってそれが一番の悩みの種だったりする。


あの後、結局果歩が倒れたことに気を取られて、あの母親とは接触出来ず仕舞い。


気づいた時にはあの子と母親の姿は跡形も無く消えていた。


そしてそれ以来2人からの音沙汰もなにもない。



「これから、どうするつもり?」



一瞬何かを考え込んだ静香の声がさらに低く曇っていく…



「さあな、まだどうしようか考え中」



今回ばかりはなかなか答えが見つからない。


本当なら、今すぐにでも接触して話をしたのはやまやまだが…。でも、それはまだ無理に近いだろう。


なにせ、今の果歩の精神状態を考えると下手に行動するのは難しい。



今はそれよりも果歩の様子を見守ることが先決だ。


できるなら、果歩の気持ちを最優先に考えたいから…