「ねぇ、あれからあの母親との連絡は?」
そんな時、少し硬めの低い声が向けられる。
突然難しい表情に変えた静香に、俺の表情もスッと強張っていくのを感じ…
「いや、まだ何も」
「そっか…」
はっきり言ってそれが一番の悩みの種だったりする。
あの後、結局果歩が倒れたことに気を取られて、あの母親とは接触出来ず仕舞い。
気づいた時にはあの子と母親の姿は跡形も無く消えていた。
そしてそれ以来2人からの音沙汰もなにもない。
「これから、どうするつもり?」
一瞬何かを考え込んだ静香の声がさらに低く曇っていく…
「さあな、まだどうしようか考え中」
今回ばかりはなかなか答えが見つからない。
本当なら、今すぐにでも接触して話をしたのはやまやまだが…。でも、それはまだ無理に近いだろう。
なにせ、今の果歩の精神状態を考えると下手に行動するのは難しい。
今はそれよりも果歩の様子を見守ることが先決だ。
できるなら、果歩の気持ちを最優先に考えたいから…



