それから数秒の間、そんな俺を不安そうに見てた彼女だったけれど。
「はい、わかりました。そう言うことなら」
自ら名刺を握りしめ、納得したように笑ってくれた。
「私も、三月さんのこと心配だから」
「ありがとう。助かるよ」
見た感じ、どことなく似たもの同士の果歩と彼女。
育ってきた環境、生き方の価値観が似ているのか、きっと一緒にいて気が楽なんだろう。
果歩も彼女の話をする時は素直に楽しそうだし。
そして目の前の彼女もとても…
俺自身もこんなふうに果歩を心配してくれる人が一人でもいてくれると思うと、やっぱり素直に心強い。
「それに、椎名先生の頼みなら引き受けない訳にもいかないですもん」
「えっ?」
「断ったりなんかしたら罰が当たっちゃいますよ。ぜひども任務遂行させていただきます」
気合いを入れ、クスッと笑った彼女がゆっくりと扉を開ける。
任務って……
「はは。それは頼もしいな」
「はい。任せてください」
最後に満面な笑顔を向けてくれた彼女に片手を上げて、俺もカウンセリング室を後にした。



