甘い体温②・前編・


「あいつに……果歩に何か少しでも変わったことがあったらすぐに俺に連絡して」



正直、今は気が気じゃなかった。


ついこの前もあんなふうに突然倒れたばっかりだし。


こんな状態のままだと、またいつ倒れてもおかしくないと思うから。



「えっ、でも……」


「悪いけど、俺が傍にいない間未来ちゃんの見れる範囲でいいから、少し果歩のこと注意深く見ててやって」



本当は、できるなら俺が1日中あいつの傍にいてやりたい。


けど、さすがにそう言う訳にもいかないだろ?


まさか、仕事を休んであいつにずっとついて回るわけにもいかないし。



「少し迷惑かけちゃうけど、ここは未来ちゃんを見込んで、頼めるかな?」



こればっかりは俺もどうしようもない。


こうして頼む以外他に…


俺は戸惑う彼女の手に名刺をギュッと握らせ、もう一度大きく頷いた。



「私で…いいんですか?」


「もちろん」



彼女なら果歩も心を許してるみたいだし、まず安心して大丈夫だろう。