「それで俺と喧嘩でもしたんじゃないかと思って来たわけだ」
「…はい、ごめんなさい。でも、それがすごく痛々しくて、あんな三月さん見るのは初めてで、見てるこっちが悲しくなってきちゃって…だから私……」
辛そうに俯むいた未来ちゃん。
その時の様子を思い出したのか、寂しそうに唇をかみしめる姿に俺もつられるように眉を下げた。
「そっか…」
そう呟き、俺は彼女から視線を外す。
目の前の冷めかけのコーヒーと共に、俺の気持ちもじわり、切なくなるのを感じて…
まさにそれは予想通りの言葉だった。
……果歩の様子がおかしい。
そのことはここ最近、俺自身もずっと身にしみて感じてたことだった。
普段俺と接してる時は常に明るく振舞ってる果歩。
けれどその半面、夜になると異様に一人になるのを怖がり、俺の傍から離れようとしない。
一人になるのを極端に避けているって感じで、
常に隣に誰かがいないと安心できないといった様子だった。



