「あ、それでさっきの話の続きなんですけど」
ハッと思い出したように、話題を変えた彼女がゆっくりとカップを机に置いた。
「えっ、ああ、そうだったね」
そういえば、果歩と俺が喧嘩がどうとか言ってたっけ?
正直、何となく彼女の言いたいことに予想がつかない訳でもないけれど…
「もう一度はっきり言いますよ」
そう言葉にしながら、真剣な面持ちをした彼女に俺もゆっくりと姿勢を正した。
「はい、どうぞ」
「最近の三月さんってなんか変じゃないですか?」
「……変?というと?」
聞き返しながらカップを机に置くと、目の前の表情が寂しげに曇る。
「いや、ぱっと見は全然普通なんですよ。むしろよく笑うし、よくじゃべってくれて逆に明るいっていうか…」
「うん」
「でも、なんだろう…それが返って変っていうか、わざとらしいっていうのか…とにかくいつもの三月さんらしくなくて」
「うん」
「それに、授業中気になってふっと見るとすごく寂しそうに窓の外を見てるんです。
心ここにあらずって感じで、授業にも全然身に入ってないみたいで、
何かすごく思い詰めたように見えて…それで……」



