そう言って、クスリ笑った彼女が早速ミルクを入れ、カップを口に運ぶ。



「ん、美味しい!やっぱり椎名先生が入れてくれる紅茶は一番です」


「フッ、そう?」


「はい、そうです」



そんな彼女の様子を覗いながら、俺もまた入れたてのコーヒーに手を伸ばす。


あどけない笑顔。


昔とあまり変わってないその表情に嬉しさを感じながらも、


でも、やっぱりどことなく大人っぽくなった気がするのはきっと気のせいじゃないだろう。




後藤未来(ごとうみき)


元、俺が担当していた患者の一人だ。


3年ぐらい前まで、ここで俺にカウンセリングを受けてたのがすごく昔のようで懐かしい。


治療も兼ねて、こんなふうに世間話をしたのをよく覚えている。



そして今はどんな巡り合わせか知らないけれど、果歩が唯一心を許している友達だったりするから驚きだ。


しかも、同じ大学にまで通ってるっていうから笑えてしまう。