(小さな背中ーsaid 陽生ー)
「ねぇ、先生と三月さんって喧嘩でもしたの?」
それから数日経った土曜日の朝。
場所は病院。
突然、珍しい顔がひょっこり俺の前に現れた。
「えっ、喧嘩?」
「そう、喧嘩」
思わず振り返ると、真剣な瞳が真っ直ぐ俺を見つめていた。
瞬きもせず、じっと何かを探るような視線に俺はたまらず苦笑い。
「そりゃあ、また唐突だな…」
両手には今入れたばかりのカップが2つ。
俺はそれを部屋の真ん中のソファーに座る彼女の目の前に置くと、クスリ笑って向かいのソファーに腰を下ろした。
「確か未来ちゃんは紅茶でよかったよね?」
「あ、はい」
「ちなみにミルクとシロップはご自由に」
「はーい。分かってます」