甘い体温②・前編・


もう、涙も出てこない――…



「私は、大丈夫です」


「えっ?」


「私なら平気ですよ」



私は顔を上げ、ニッコリと静香さんに笑顔を向けた。



そう、大丈夫。


私は大丈夫…



「ちょっと、ビックリしただけですから」


「えっ、……果歩、ちゃん?」


「本当、ごめんね」



そう言って、陽生にも同じように笑ってみせた。



そうだよ、少し、ビックリしただけ。


だって、あまりに突然だったから、

突然再会して戸惑っただけ、



ただ、それだけのことだ。