甘い体温②・前編・


そうだ、私……


そう思った瞬間、パァっと診察室での出来事が脳裏に浮かんだ。


何故か、今の今まで記憶の中から消えかけてたけれど……



私…

私…




『お姉、ちゃん?』


『果、歩?』



まさか、あんな形で再会するなんて思ってもみなかった。


こんな現実が待ってるだなんて、


よりにもよって、


優と、あの女が親子だったなんて――…





「ん?……果歩ちゃん?」



突然顔を曇らせた私に、静香さんが心配そうに覗きこむ。


私は俯きながら首を横に振っていた。




本当、ふざけてる。


まるで安っぽい昼ドラの世界。


こんな現実が本当にあるんだね。


バカバカしくて逆に笑えてしまう。