…だけど……。
「あー!もうっ、だから人前でいちゃつかないでって言ってるじゃない!」
やっぱ、そうくるよね。
予想済みの展開に、温められた気持ちが一気にひんやりと下がっていく。
「ちょっとぉ、はる君!私も勉強教えてよ、っていうか、私にも優しくハグしてよ!」
沙希が再び私から陽生をグイっと引き離す。
呆気なく奪われたぬくもりに、なんだか妙に気分がザワザワとした。
「この女ばっかりずるい!」
頬を膨らませながら怒る沙希に、陽生もまた呆れたようにため息を吐く。
「あのなぁ、何で俺がお前に優しくハグしなきゃいけないんだ?つーかそもそも、自分の恋人と抱き合って何が悪いんだよ」
「だからって、何も私のいる前でそんなことしなくたっていいじゃない!はる君のバカ!」
「バカって…お前ねぇ、この前からいったい何なんだよ、なんか感じ悪いぞ」
「何よぉ!私は別に悪いことなんかしてないもん、悪いのははる君じゃん!」
「は?なんだって?」
あー…なんだろうこの感じ。
甲高い耳障りな声に胸がキリキリとする。
なんだろう。
なんだか無性に…
イライラする!



