甘い体温②・前編・


…だけど……。



「あー!もうっ、だから人前でいちゃつかないでって言ってるじゃない!」



やっぱ、そうくるよね。


予想済みの展開に、温められた気持ちが一気にひんやりと下がっていく。



「ちょっとぉ、はる君!私も勉強教えてよ、っていうか、私にも優しくハグしてよ!」



沙希が再び私から陽生をグイっと引き離す。


呆気なく奪われたぬくもりに、なんだか妙に気分がザワザワとした。


「この女ばっかりずるい!」



頬を膨らませながら怒る沙希に、陽生もまた呆れたようにため息を吐く。



「あのなぁ、何で俺がお前に優しくハグしなきゃいけないんだ?つーかそもそも、自分の恋人と抱き合って何が悪いんだよ」


「だからって、何も私のいる前でそんなことしなくたっていいじゃない!はる君のバカ!」


「バカって…お前ねぇ、この前からいったい何なんだよ、なんか感じ悪いぞ」


「何よぉ!私は別に悪いことなんかしてないもん、悪いのははる君じゃん!」


「は?なんだって?」



あー…なんだろうこの感じ。


甲高い耳障りな声に胸がキリキリとする。


なんだろう。


なんだか無性に…



イライラする!