う、嘘。何で静香さんがここに!?


ひょ、ひょっとして今の全部見られて……


アタフタしながら体を起すと、目の前の重みがスっと消えて軽くなった。



「ってぇーな!だからってなにもスリッパで叩くことはないだろ?

お前は手加減という言葉を知らないのかよ!」



ベッドから勢いよく立ちあがった陽生が静香さんを睨む。



「あら、なによ。私はただ可愛い子猫ちゃんを変態の猛獣から助けようとしただけよ」


「あ?なんだって?」


「てか、あんたこそ少しは自粛っていう言葉ぐらい覚えなさいよね!もうっ、

仮にも果歩ちゃんは病人なのに」



スリッパをぽいっと捨てた静香さんが私の元に歩み寄る。


軽く陽生を睨み付けながら、何故か私をグイっと抱き寄せた。



「えっ、静香さ……」


「あー…よしよし。可哀そうに、怖かったわよね。ほんと変態の節操なしがごめんね」