甘い体温②・前編・


がっくし肩の力を落とそうとした瞬間、グイっと手を引っ張られて自動的に足が前に飛び出した。



「お姉ちゃん行くよ」


「あー…」


「大丈夫、怖くない、怖くない」



優がグイグイ私を陽生の元へと連れて行く。


一歩一歩距離が縮むたび、顔がどんどん引きつっていくのが分かる。


そして陽生もカルテを持ったまま動く気配がない。




子供の無邪気さってすごい。


圧倒されっぱなしの私と、陽生?


何も知らないって、逆に狂気だわ。



そう思いながら陽生の目の前にたどりつくと、これでもかってぐらい目が合った。


すぐに陽生の視線が私と優に注がれる。