がっくし肩の力を落とそうとした瞬間、グイっと手を引っ張られて自動的に足が前に飛び出した。
「お姉ちゃん行くよ」
「あー…」
「大丈夫、怖くない、怖くない」
優がグイグイ私を陽生の元へと連れて行く。
一歩一歩距離が縮むたび、顔がどんどん引きつっていくのが分かる。
そして陽生もカルテを持ったまま動く気配がない。
子供の無邪気さってすごい。
圧倒されっぱなしの私と、陽生?
何も知らないって、逆に狂気だわ。
そう思いながら陽生の目の前にたどりつくと、これでもかってぐらい目が合った。
すぐに陽生の視線が私と優に注がれる。



