「あ、僕の名前は優だよ。お姉ちゃんは?」
ちゃっかり私の隣に座った優が満面の笑みを向ける。
足をぷらぷらさせながら、それはもう嬉しそうに。
「あー…うん。果歩だよ」
その場しのぎの笑顔を向ける。
さっきからどれぐらい経ったんだろう。
一向に母親が戻って来る気配はないし。
体はだるくなる一方だし。
隣からの無邪気な質問攻めの嵐にほとほと疲れ果てていた。
ていうか、私病人なんですけど……
うな垂れるように俯くと、優が慌てて顔を覗きこんできた。
「お姉ちゃん大丈夫?」
くりっとした大きな瞳が心配そうに揺れている。
「あー…うん」
できることならそっとしておいてほしいんだけどね。
もう作り笑いをするのもしんどくなっていた。



