それよりもこの子の親は?
そう思い、慌てて辺りを見渡したけれど、そんな人物らしき人は見当たらなかった。
……どういうこと?
「ねぇ、あんた一人?お母さんは?」
思い切って聞いてみた。
まさか、こんな小さい子がこんな場所に一人で来るわけないよね?
ていうより来れないよね?
首を傾け、男の子に視線を戻すと、彼は理解したようにすぐに言葉をくれた。
「うん。ママと一緒だよ」
「…ママ?」
「ん、あのね、なんかほけんちょう忘れたとか言って家に取りに行った」
「は?……ほけんちょう?」
…って、ああ、保険証か。
なるほど。



