甘い体温②・前編・


それよりもこの子の親は?


そう思い、慌てて辺りを見渡したけれど、そんな人物らしき人は見当たらなかった。


……どういうこと?




「ねぇ、あんた一人?お母さんは?」



思い切って聞いてみた。


まさか、こんな小さい子がこんな場所に一人で来るわけないよね?


ていうより来れないよね?


首を傾け、男の子に視線を戻すと、彼は理解したようにすぐに言葉をくれた。



「うん。ママと一緒だよ」


「…ママ?」


「ん、あのね、なんかほけんちょう忘れたとか言って家に取りに行った」


「は?……ほけんちょう?」



…って、ああ、保険証か。



なるほど。