たまらずその場にしゃがみこんだ私の元に、ブラウンが勢いよく駆け寄って来た。
まるで私を心配するかのように見てくるブラウンに少しだけ笑って、そのままそっと抱き上げた。
分かってるよ。
陽生の言う通り、このままじゃダメなんだってことぐらい。
分かってる。
こんなんじゃ、いつまでたっても前に進めないってことも。
でも、でもね。
それでもやっぱりどうしてもダメなんだ。
気持ちが思うように整理できない。
できないんだよ…
もう少し時間がほしいの。
もう少しだけ、もう少しだけそっとしておいてほしい。
できるなら、もう少しだけ…
「いいよね、ブラウン」
私は自分に言い聞かせるように呟くと、震える手でブラウンを力いっぱい抱きしめた。



