あ…
これって……
それは2カ月前、陽生に渡された茶色い封筒。
怖くて受け取らなかった、ううん。受け取れなかった封筒だ。
「こんな所にしまってあったんだ…」
あれから陽生は何も言ってこない。
そして、私もあえてその話題にふれてない。
あの後、「私の気持ちの整理がつくまで待つよ」って言ってくれた陽生の言葉に甘えて今の今まで見ようともしなかった。
だって…考えるのが怖い。
今更どんな顔して会ったらいいのか分からない。
ていうか、それ以前に向こうが会いたがらないかもしれない。
封筒を取ろうとして、やっぱり手が躊躇する。
手が、情けないほど震えてくる。
少しは過去の自分に向き合えるようになったつもりではいても、こればっかりは別なんだ。
あの女のことになると、自分でも驚くぐらい拒否反応が出てしまう。
たまらなく怖くなる。



